大台ヶ原(奈良県吉野郡上北山村)は吉野熊野国立公園の一角で、三重県にもまたがります。20年近く前の4月の終わりに、自転車で登ったことがあります。半分は自転車を押していましたが。
国道169号から大台ケ原に曲がる所に車を止めて、自転車を組み立てました。その場の標高ははっきりしませんが、500メートルと推測しました。大台ケ原の駐車場は1570メートルなので、標高差は1000メートルあまり。距離は19.6キロ。 最初の4キロがかなりきつい上り。ただし、まだ体力を使っていないので、少しはペダルをこげました。
逆行の光に透けている若葉が実に初々しい時期でした。ただし、若葉は下の方だけで、上の方に行くと、ブナもまだ葉を出していなくて、山桜が残っていたのです。
尾根に座ると、山々の重なりが、ずっと向こうまで続いています。大台ケ原の駐車場に着いたのは、3時間半後でした。私は自転車は弱い方なので、ほかの人の参考にはならないかもしれませんが。
上では大蛇嵒(だいじゃぐら)を目指しました。楽な牛石ケ原経由です。倒木が白く朽ちている独特の光景。その景色の中に、鹿が2匹遊んでいました。木の根本は食われていて、鹿害の深刻さも知ることになります。
切り立った崖の上に大蛇嵒があります。270度くらいの展望が、下から空まで広がっています。下の方には、白いモヤモヤした塊がいくつもあり、桜でした。
下りは風を切るので、ウインドブレーカーを着ました。あとは、下るだけ。そう思って出発したのですが、タイヤがパンクし、修理をしたのを覚えています。走っていると、俳句を作ってみたくなりました。駄作です。
尾根の桜10キロ四方を従える
若葉の道登った先に青き宇宙
(S)=2000年4月29日撮影