川の水音を耳にして、急勾配の山道を登り、約100メートルごとに置かれた江戸時代の丁石を数え、17丁石で質素な尼寺に着きます。行くのは大変ですが、山あいの静かな場所に、音羽山観音寺(おとわやまかんのんじ、奈良県桜井市南音羽832)はあります。
境内にお葉つき銀杏(いちょう)がそびえています。樹齢は600年以上。奈良県の調査で高さは25メートルですが、住職は子どもの成長を見ているような口ぶりで、「もっと伸びている」と語っていました。
この大木にはまれに、葉の裏に実(ギンナン)ができ、葉と一緒に落ちてきます。これがお葉つきイチョウで、他の普通の実よりは小さく、形も不揃いです。
落ち葉は、境内を埋めます。狭い境内は黄色一色に染まります。(S)=2004年11月3日撮影